2023/04/08(土)自転車のフロントフォーク交換

私はARAYA CXの2010年モデルに乗っている.
そのフロントフォーク(前輪を支持する部品)はアルミカーボンフォークなのだが,不注意で損傷させてしまった.
前輪直上にある貫通穴をキャリアの取り付けに使用していたが,運用中にナットが緩み脱落.
気がつかないまま乗っていたら,穴が削れ長穴状態になっていた.
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部品の破断など致命的な事態にはならない気もするが,去年軽度の追突事故に遭って負荷がかかったこと,
使用開始から10年以上経ちカーボンフォーク自体の経年劣化も疑われた*1ことから,交換を決断した.
フロントフォークの交換など初めてなので,作業中はメモ代わりに頻繁に写真を撮った.この記事自体もメモである.
この記事に使用する用語は,メーカーのコラム記事に準ずる.

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*1 : カーボンフォークとは実際は複合材,それも樹脂が入っている『炭素繊維強化プラスチック』なので,あまり長期間使用はしたくない.

1 部品選定

価格と強度,寿命から,クロモリ製のフォークを探した.ARAYA CXを買ったときにまとめていた記事を活用して,同じ規格の部品を求める.
Viva クロスフロントフォーク Aヘッド 1-1/8に決定(Amazon.co.jpで購入).

2 部品取り外し

部品がどのように組まれていたか,メモなり写真なりを使って記録してから分解する.

2.1 前輪タイヤを外す

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2.2 ブレーキケーブルを取り外し,ハンドルステムを取り外す

ハンドルステムというのはハンドルを取り付けている根元の部品.
AHEAD規格のステムは上部のM6ボルトを抜いた後,ステム側面にあるネジを緩めると抜ける.
同時に通常はフォークが自重で落下するので自転車の下に何か敷くなど,落下時の部品破損対策をしておくと良い.
今回は今まで使っていたフォークはボロボロで再利用予定もないので,何もしなかった.
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すぐ上の写真の通り,今回はステムを外してもフォークが落下しなかった.
長年使っていて,フォークコラム(フォークのハンドルステムがついていたパイプ部分)のベアリング固定部品が固着していたようだ.
写真中央の黒いリング状の部品*2に溝があったので,
そこを細いマイナスドライバーで変形しないようにやさしくこじると,固着が解除されてフロントフォークが落ちた.
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かなり汚れている.汚れを拭い取ってからグリスアップした方が良い.

2.3 Vブレーキやキャリアの取り外し

以降の作業で邪魔になるので,Vブレーキやキャリアを取り外し,清掃注油しておく.

2.4 下玉押しの取り外し

下玉押し(下側のボールベアリングを支持する部品)はフォークに圧入されている.
これを取り外して,新しいフォークへ移設しなければならない*3
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下側のカートリッジベアリングと,スペーサーをフォークコラムへ差し込んだ状態.これらを受ける黒い部品が下玉押しだ.
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実際の取り外し作業は次のように行った.
  1. ゴミをミシン油で洗浄する.これからの作業での部品の潤滑も兼ねる.
  2. 下玉押しとフロントフォークのわずかな隙間にカミソリの刃を入れ,
    その背をゲンノウ(カナヅチ)で慎重に叩き,フォークと下玉押しの平行を保ちながら,隙間を広げていく.
    以下の作業では,下玉押しが外れるまで,適宜ミシン油を差す.
  3. カッターナイフの刃が入る程度の隙間になったら,カッターナイフとゲンノウで同じ作業を実施する.
    カッターナイフの刃は硬さ重視で脆いためよく欠ける.欠けたら都度交換する.飛び散る刃に注意する!
  4. カッターナイフとレギュラーサイズのマイナスドライバーとの中間くらいの厚みのものを差し込み,慎重にこじる.
    精密ドライバーのマイナスは下玉押しが傷つく可能性があるので,使わない方が良い.
  5. レギュラーサイズのマイナスドライバーを差し込みこじる.ここまでやると多分外れる.
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取り外した後の写真.この状態になるまでかなり時間がかかっている.
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*2 : 外してみると樹脂製でスリットのある厚めのテーパー構造の部品だった.

*3 : この作業に失敗すると,上ワン,下ワンも購入し,交換しなければならない.なお専用工具を使っての取り外しと,圧入作業である.やりたくない!

3 部品の組み付け

3.1 新しいフォークへ下玉押しを圧入する

下玉押しが傷つかないように,当て木をしてゲンノウで叩き,新しいフォークへはめ込む.
当て木は金属製で面取りのない筒状のものがベスト*4
はめ込んでいく際,下玉押しが斜めになりすぎると詰む.そうならないように,叩く位置をこまめに変え慎重に作業する.
潤滑のため,ミシン油を差しながら作業を実施した.

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3.2 仮組みし,長さをチェックした後フォークコラムを切断する

仮組みを行い,フォークコラムにマジックで切断位置の印をつける.
その後,また分解し,フォークコラムをパイプカッターで切断する.
切断面は盛り上がっているので,ヤスリで盛り上がりを削り取る.
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3.3 アンカーナット(スターファングルナット)を圧入する.

アンカーナット(スターファングルナット)がないと,フォークのベアリングの固定ができない.必ずフロントフォークとセットでアンカーナットは購入する.
圧入作業は,GIZA PRODUCTS(ギザプロダクツ) アンカーナットセッター TOL20401を買って,取扱説明書に沿った作業を実施した.

3.4 本組みを試みたがフォークコラムが少し長かった→1mmほどヤスリで削る.

本組みを試みたが,フォークコラムが少し長かったため,ぐらつきが生じた.なので1mmほどヤスリでフォークコラムを削った.
道具は,長さ200mm以上の金工ヤスリと,しっかりした万力があった方が良いと思う.今回は写真のように固定した.
目標量まで削れたら,紙やすり等で糸面取りしておく.
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*4 : 専用品が売られているが高い.

4 部品をすべて取り付け試走.問題なければ完了

ブレーキやキャリアの取り付けも行い,走行可能な状態にする.試走して問題なければ作業完了.

試走した感想としては,少し乗り心地が硬くなった印象を受けた.後は重くなった.
これから当面評価を行う予定である.
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フロントフォークの色が黒から,クロムめっき色に変わったが,配色としては違和感はないはず.